まめばん

No14

イディオットフォン/idiot phone

26th September 2024

時代の流れによって、価値の尺度が逆転することはよくあることだ。例えば、まだ機械によるものづくりが珍しかった頃は、機械で作られたものの方が、人が作ったものよりも精密なため高価とされていたが、手作りが少なくなった現代では、職人の手作りの製品の方が高価なものとされる。いろいろな家電に囲まれて便利になった昨今では、キャンプのように逆に自分の手を動かして作業することが人気だ。このように、時代によって価値の逆転が起こることはよくあるが、スマートフォンに関しても同じことが将来起こるかもしれない。スマホの反対、つまり、イディオットフォンの誕生だ。スマホの登場からしばらく経って、世の中で問題になっているのがスマホ中毒だ。SNSや動画サイトなどの利用で、スマホを過度に見続けてしまい、日常生活に影響があったり、健康や思考力に悪影響を及ぼしてしまっていたりする。やめようと思っていても、スマホは中毒性があり、なかなか止められないという問題がある。一番良いのはスマホを手放すということだが、電話やLINE等のメッセージングツールとしての役割もあり、通常生活や人間関係を維持するには必要不可欠だ。メッセージ機能だけが使えればよいが、厄介なのは、LINEやInstagramはそういった連絡ツールとしての機能を持ちつつ、無限に見てしまうリール動画という機能も合わせ持ってしまっているということだ。だから、チャット機能が必要であれば、必ず動画アプリとしての機能もついてきてしまい、アプリを単純に消せばいいという話ではないということだ。 LINEやInstagramのチャット機能は使いたいが、ずっと見てしまうリール機能を使わないようにするにはどうすれば良いかということだが、ここで出てくるのがイディオットフォンである、略してイディホである。イディホとは計算処理速度がかなり低いデバイスだ。一般的に動画はチャットに比べ、かなり計算処理が必要なため、処理能力が低いと動画がカクカクして見にくい。昔のPCを想像してもらえれば分かるだろうか。一方で、処理能力を落としたとしても、チャット機能はそれほど処理能力を必要としないため、快適に使える。だから、YouTube、Netflix、Instagramのリール動画の利用は厳しいが、チャットはできるという必要最低限なデバイスが完成するのだ。さらにもう一つイディホにはメリットがあって、処理速度が高い高価なCPUを必要としないため、安価に作れるということだ。だから、必要最低限な機能だけが欲しい人にとって、お財布にも優しいのだ。このアイデア如何だろうか。