まめばん

No15

犬舌

1th October 2024

飲み会などに行くと、料理が出てきた時に一切手を出さないで、こちらが食べないのと聞くと、猫舌だから食べれませんと言われる、こういう流れはよくある。彼らにとっての適温は普通の人より低くて、ちょっとぬるくなるまで待たないといけない。しかし、ぼくの問題は、猫舌の反対ということだ。つまり、舌が普通よりも温度に対して強いのだ。それのどこが問題なんだっていう話なんだけど、これが大問題なのである。外で料理を注文して、少し冷めた料理が出てきたらどうだろうか。嬉しいことではないだろう。僕は適温が普通の人より高いから、普通に温かい料理が出てきてもぬるく感じてしまうのだ。例えば、宅配ピザ。どんなに早く持ってきてもらっても必ず電子レンジで温め直さないと美味しく感じることができない。宅配ピザを注文して、温め直すために、いっそ、冷たいまま持ってきてもらってもいいと思ってしまう。しかし、宅配ピザなら、温め直せばいい。もっと問題なのは、ラーメンだ。外で食べる出来立てのラーメンは結構な確率でスープがぬるいと感じてしまう。家でインスタントラーメンを食べるときは、沸騰したお湯で麺を茹でて、ガスを切って、すぐ食べる。だから、外でラーメンを食べるときの、ラーメン職人がこだわった七十数度の温度のスープは自分にはぬるすぎるのだ。猫舌の人は、麺を固くして、自分の適温が来るまで待てばいい。でも僕みたいな人は、待てど暮らせど適温は、一生来ない。だからといって、出てくる前に、スープ熱々にしてくださいと、言ってできるものかも分からないし、職人にとても失礼な気がして、とても言えない。ラーメンは、麺固めとか、油多めとか結構個人でカスタマイズできる料理だ。スープの熱さを「熱々」、「普通」、「ぬるめ」と選べたらいいなと、ラーメン屋に行くたびに思う。 このような悩みを持っている人が世の中にどれくらいいるのだろうかと気になるところである。